今年の初めから、シリウス・ドッグトレーニングスクールの新たな試みとして、毎週土曜日の午前中に「トイレ&甘咬み解決セミナー」を開催しています。おかげさまで、毎週新しい飼い主様に参加していただき、「トイレトレーニング」と「甘咬みの対処」という、犬と生活を始めて、一番初めにつまずきやすい問題についてスライドや動画を使いながらできるだけ詳しくお話させていただいています。毎週毎週新しい飼い主様とお話する、というのはとても刺激的で、同じテーマでありながら、毎回違った問題点が発見できますので、勉強にもなります。
このセミナーを始めたきっかけは、パピークラスのアンケートで、いつも他の項目と比べて満足度があまり高くないのが「トイレトレーニング」と「甘咬みの改善」であること。実際に子犬をトレーニングすることがメインであるパピークラスの中では、家でのトイレトレーニングの方法と、甘咬みの対処方法の説明がどうしても不十分になること。そして、しつけ教室でプロのアドバイスを受けようかな、と初めに飼い主さんが思われるきっかけの多くが、社会化やコマンドトレーニングではなく、「トイレ」と「甘咬み」の問題だと気付いたからです。
これまでも、シリウス@home(訪問トレーニング)で、子犬のおウチでのトレーニング方法をアドバイスしてきましたが、初めから訪問トレーニングを依頼するのはハードルが高いものです。そこで、できるだけ多くの方に聞いてもらえるように、教室でのセミナー形式にしました。また、この形のセミナーであれば、ワクチンプログラムが途中で、まだパピークラスに参加できなかったり、来週犬を迎えるけどどう準備したらいいの?という方にも、気軽にご参加いただけます。
ドッグトレーニングの勉強をすると、とにかく子犬のときは社会化が重要で、色々な刺激に慣れさせて、色々な環境で自信を持てる犬になれるように、そしてコマンドトレーニングを反復して良い癖を付けて飼い主さんがコントロールできる犬になれるように、と理想的な犬になるためのレールに乗せることに必死になるのですが、その流れは時に、今、現在、飼い主さんが本当に困っていることや飼い主さんと犬との間でこじれてしまっている問題の解決から乖離してしまうことがあります。
シリウス・ドッグトレーニングスクールは今年で9年目を迎え、より高度なトレーニングとは真逆の、より分かりやすい、よりシンプルなトレーニングの提供、そして、トレーニング以前の犬との関わり方、生活の仕方を分かりやすく提案できるように目指す方向に向かっていると思っています。これは高度なトレーニング技術とはまた違う、難しさがあります。
イアン・ダンバー博士の元で勉強していた時に、彼から言われた言葉でとても印象的だったのは、
「できることなら、初めて犬を飼う人の気持ちになりたい。経験を積めば積むほど、その気持ちが分からなくなる」
という言葉です。ドッグトレーナーとして仕事をする年数が長くなればなるほど、この言葉の重みを強く感じます。
まだまだ力不足なところもたくさんありますが、シリウスと関わっていただいた飼い主様と犬たちに少しでも役に立てるように、サポートしていきたいと思っています。
辻村