お盆を過ぎ、日中の暑さはまだまだ堪えるものの、朝晩は随分と過ごしやすくなってきました。
朝の6時前に外へ出ると、秋の気配も感じるようになり、犬との散歩は私にとって一番季節の変化を感じる時間でもあります。
「犬の散歩」というと、昔から犬との生活には付き物の世話の1つですが、最近は、小型犬だからとほとんど行かれていなかったり、ヘッドホンを付けてスマホを見ながら仕方なく(?)犬を散歩させている様子を見かけたり、とできればあまり行きたくないと思われているものなのかもしれません。
確かに家のトイレで排泄ができる子の場合、必ず毎日決まった時間に散歩に連れて行く必要はありませんし、逆に毎日行く時間を決めてしまうと、行けない時にストレスが溜まったり、行く時間の前になると催促して吠え始める、といった問題が起きることもあります。
しかしながら、「犬との散歩」や「犬とのおでかけ」というのは、犬と生活する上での醍醐味でもありますので、問題が起きないように上手くコントロールしながら、楽しい時間をたくさん過ごしてもらいたいと思います。
「犬とのコミュニケーションが密に取れる」
散歩の時間は一番犬に気持ちが向きやすい時間でもあります。シリウスのレッスンでいつも、「1日5分でいいので、犬とだけ向き合う時間を作って、遊んだりトレーニングしたりしてください」とお話します。散歩中は人間にとって日常の雑用や色々と入ってくる情報をシャットダウンできる時間でもありますので、この時間にぜひ犬とコミュニケーションを取りましょう。
また、他の犬や人が気になって落ち着けない犬は、ふたりきりになれる静かな場所を探してトレーニングすると良いでしょう。
「犬の嗅覚・視覚・聴覚・触覚に刺激を与えられる」
一日中家に軟禁されている、というのは、犬にだって退屈なことです。もし、家から出ないことが当たり前になってしまったら、刺激不足で精神的・身体的に何かしら支障が出てくるかもしれません。外で様々な匂いを嗅ぐ、匂いから情報収集する、知らない道を歩く、温度変化を感じる、土の上を歩く、自然に触れる、そういった動物として当たり前のことを、犬にも経験させてあげてください。
また、いつも決まった散歩コースだけを歩くというのも結局は刺激不足になってしまいます。時々、コースや行き先を変えてあげましょう。そして、時間のあるときには、山歩きをしたり、川や海に連れて行ったり、いつもの散歩とは違う場所にも連れて行ってあげてください。犬が本当に生き生きとした表情を見せてくれると思います。
家庭犬というのは、野生動物のように獲物を探す必要もなく(家で食べ物を漁ると怒られます)、寝床を作る必要もなく(ソファを引っ掻いて寝床を作ろうとすると嫌がられます)、仕事がない、退屈な毎日を過ごしています。
家の中での行動のはけ口については、以前こちらのブログで書きました。そんな彼らが外で楽しく過ごせる「散歩」や「おでかけ」は、飼い主として犬に提供すべき大切な時間ではないでしょうか。
中には子犬のうちにほとんど外に連れ出さず、他の犬や人と関わる経験がなかったため、散歩をまったく楽しめない犬もいます。そんな場合はその子のレベルに合わせて少しずつ慣らしていく必要があるでしょう。また、まだ子犬の場合は、今のうちから色々な経験をさせて、社会化を促進してあげてください。
犬との散歩が、犬にとってとても有意義な時間となり、飼い主さんが犬をよく観察し、犬との良いコミュニケーションが取れる時間になるといいな、と思います。
(辻村)
(夏休みに立ち寄った向日葵畑にて。土の上はひんやりしていました。)