犬との生活(家での過ごし方)

良い習慣を定着させる

 

シリウスのレッスンは、原則的に室内で犬を飼う人を対象としています。

アドバイスの中で目指しているのは、室内で犬が自由に動き回っても困らない飼育スタイルです。

「サークルに入れている時間がほとんど」という飼い方は、
せっかく犬と生活しているのにとても勿体ないと思います。
犬との生活の面白さや楽しさが半減してしまいます。

犬が家の中で自由に快適に落ち着いて過ごせるように、少しずつ慣らしていきましょう。

うちの犬を観察していると、夏と冬とではくつろいでいる場所が全く違います。
暑い夏は風通しの良く、ひんやりしている玄関や廊下で寝ていることが多いですが、
寒い冬は暖かいベッドの上で包まっています。
家族の気配を感じながらも、自分で心地よい場所を探しているようです。

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とはいえ、初めから家中どこでも好きにしていいよ~♪では上手くいきません。

犬が自分で考えるトイレの場所は、きっと人間には大問題の場所になりますし、
靴や家具の脚は犬にとって最高の”噛むオモチャ”になってしまいます。

 

犬と快適な生活を実現するにあたって、重要なポイントは、

「悪い習慣が定着する前に、良い習慣を定着させる」

ということです。

 

これは犬のしつけ全般に言えることです。
人側が望んでいる行動を犬が自然に癖づけられるように上手く誘導してあげることが成功の秘訣です。

悪い習慣が定着すると、
トレーニングはマイナスからのスタートとなり、
とても根気が要ります。

 

また、「困ったことが起きた時に何かをする(例えば怒る、大きな音を出すなど)」
という方法は得策ではありません。

例えば、玄関に置いてあるスリッパを噛んでボロボロにする、というケースを考えてみましょう。

解決方法は、

  1. 犬がスリッパを噛めない環境に変えます。
    (使わない時は必ず片付ける、または犬が玄関に行けないようにするなど)
  2. 犬が何かを噛みたいという欲求は残っていますから、スリッパの替わりにフードを詰めたコングを与えるなど、
    別の望ましい行動が癖づくように促します。

犬がスリッパを取れる状態にしたままで、スリッパを噛んでしまった時にガミガミと怒鳴ったり、
罰を与えたりして止めさせようとするのは、効果的ではありませんし、これはしつけとは言えません。
また、スリッパを噛めないようにするだけでは、他の困る物を噛むようになるでしょう。

子犬のうちに噛んでも良い物(オモチャ)を噛む習慣が定着すれば、
成長してから家具などを噛むといった別の物を噛む行動が出てくることはほぼありません。

 

子犬の時から癖づける

 

子犬向けのクラスでお話していると、

「うちの子、サークル(orクレート)から出すと、ずっと興奮して走り回っていて、くつろいでいるのを見たことがないんです」
なんていうお話をお聞きすることがあります。

特に子犬はエネルギッシュですから、起きていて自由に動き回れる環境では、絶え間なく動き続けます。
皆さんがイメージしている、犬との優雅な時間とは大きくかけ離れた落ち着きのない状況が続きます。
でも、サークルから出すと興奮するから、と言って、出す時間がどんどん減ってしまうと、
犬はいつまで経ってもサークルの外の環境での過ごし方を学ぶ機会が持てず、成長しても、

「サークルから出すと落ち着かない犬」
になってしまいます。

「良い行動を定着させる」ためには、子犬のうちから、家族が見守れるときは、
繰り返しサークルやクレートの外に出して、一緒に遊んだり、コマンドトレーニングをしたり、
噛むオモチャを与えることで一人で伏せて過ごす時間を作ったりして、
正しい部屋での過ごし方が身に付くように工夫してあげてください。

 

ちなみにうちのチキート(パピヨン)が、部屋で自由にしている時に一人で
横たわってくつろぐようになったのは、1歳を過ぎてからでした(苦笑)。

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その他にも、家で犬と暮らす上で、習慣にしておくと便利な行動があります。

(例)

・人の食事中はマットで静かに待っておく(と最後に何かもらえるかも)

・インターホンが鳴ったら決められた場所(クレートやマット)に行って待つ

・お客さんとあいさつするときは、飛びつくのではなく、オスワリをする。

・玄関の扉が開くときはオスワリして待ち、OKの合図が出るまでは外に出ない。

・飼い主が料理をしているときはマットで静かに待っておく(と時々何かもらえるかも)

・散歩から帰ってきたら、足を拭いてもらうまでは部屋に入らない

・夜寝る前にハミガキをする

 

1歳までのトレーニングは、その後10年以上続く犬との楽しい生活の基盤となるものです。
犬は言葉で説明してもすべてを理解するのは難しいですから、
様々な状況で、好ましい行動ができるように誘導して強化し、「良い習慣」を癖づけましょう。

 

辻村

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