シリウス✩ブログでは、不定期で犬がいる家に人間の赤ちゃんを迎えることについての記事を書いています。
・「犬と赤ちゃん」~赤ちゃんを迎える前の心づもり~
・「犬と赤ちゃん(2)」~赤ちゃんを迎えてからの犬との関わり方~
前回2回は赤ちゃんが自分で歩き始める前の段階のお話でしたので、今回は歩き始めてから(1歳を過ぎてから)のことを書きたいと思います。
うちの息子は現在3歳を過ぎ、お喋りも達者になって、犬と違って自然と言葉を話し始める人間の子どもの能力に単純に感心したり、自分で食べて排泄して寝てくれて駄々もこねない犬の方がなんて素直で楽なんだろ~と思ったり(苦笑)しながら日々を過ごしています。
赤ちゃんが自分で好き勝手に動き出すまでは、犬対赤ちゃんの関わりはそれほど多くないように思います。犬も最近相手してくれることが減ったなぁと退屈な顔をしつつも、自分の居場所が脅かされることはあまりありません。お散歩も抱っこ紐で連れて行けば、体力は消耗しますが(汗)、一応、出産前と同じように行くことができると思います。ベビーカーの場合は、犬が怖がらないように慣らせる必要があります。
赤ちゃんが歩き始めてからは、少し大変です。家の中でもちょっと目を離した隙に、ソファの上でうたた寝をしている犬のところに子どもがよちよちと歩いて行って、触ろうとして怒られて大泣きをしたり、犬のトイレの上を子どもがハイハイしていたり、犬の水入れをひっくり返したり…。ダメと言ってもまだ何も分からない時期ですから大変です。この時期、犬と子どもの関わり方を考える上で、まず重要なポイントは、
「その犬が『咬みつきの抑制』ができているかどうか」
だと思います。ちなみにうちの犬は、恥ずかしながら気の長い犬ではなく、気に入らないとすぐに怒ります。ただし幸い『咬みつきの抑制』はできているので、怒っても声だけで、咬みつきは寸止めなので、子どもを傷つけることはありません。なので、「あ~怒ってるな~、泣いてるな~汗」と思っても、比較的呑気に構えておくことができます。
一方、咬みつきの抑制ができていない犬の場合は、上記のように呑気に構えてはいられません。イヤだ!止めろ!という意思表示をするのに、咬む行動が出てしまい、ケガをさせてしまうかもしれません。成犬で人をケガさせるほど強く咬んでしまう犬の場合、服従トレーニングを積むことで犬の動きをコントロールすることはある程度可能ですが、どんな状況でも咬まない犬にすることはできない、と考えておいた方が良いと思います。つまり、まだ分別のつかない赤ちゃん・子どもを絶対に咬まないようにはできない、ということです。このような犬と子どもが一緒に生活する場合は、まずは飼育環境を管理する、つまり犬と子どもを別々の空間で生活させることがトラブルを防ぐ一番の方法です。もし、咬む行動が発生する状況がかなり限定されている場合は、常に別々にするほどではないかもしれませんが、咬む行動が出る状況下では絶対に子どもと同じ空間にさせない、と飼い主さんが気をつけることが大切です。たまに、大人のことは咬むけれど、子供には何をされても怒らないんです、咬まないんです、という話を聞くこともありますが、すべての犬が当てはまる訳ではありませんし、それを期待するのは犬にも酷だと思います。
まだ1歳前後の若い犬で、本気で怒って咬むわけではないけど、甘咬みが残っていて、ちょっと傷が付く、といった場合は、下記のトレーニング方法を参考にして、勝手に甘咬みさせないようにしましょう。
「咬みつきの抑制」は子犬の頃に学習するものです。トレーニング方法はこちらをご覧下さい。→「子イヌの咬みつき」
犬の咬みつきについては、こちらの書籍の中に詳しく書かれています。→「ドッグトレーニングバイブル」イアン・ダンバー著
また、例え咬みつきの抑制ができている場合でも、
「犬が一人でゆっくりできる空間・時間を用意してあげる」
ということも必要だと思います。耳を引っ張られても尻尾を振り回されても動じないパーフェクトな犬だったとしても、四六時中子どもと同じ空間にいるのはストレスが溜まります。もしその犬にとってサークルやクレートが落ち着く場所になっているのであれば、時々そのような場所に入れてあげたほうが気が休まるでしょう。他に落ち着く部屋があるのであれば、ゲートを付けるなどして、子どもが行けないようにしてあげても良いでしょう。
また、子どもが歩けるようになってくると、いつまでも抱っこ紐やベビーカーで散歩、とはいかなくなります。子どももしっかり歩かせて運動させる必要がありますから、子どもの散歩のついでに犬も連れて行く、というような状態になってしまいます。歩くスピードも子どものペースに合わせるので、犬もつまらなさそう…(涙)なにより、犬と子どもを連れて、一人で散歩って本当に大変です。傍目には楽しそうに見えるかもしれませんが、実際は、歩道から飛び出さないように、他の人に迷惑かけないように、とかなり必死です。しかも、途中で「抱っこ~」などと言われて動かなくなった日には、10kg以上の子どもを担いで、犬を連れて、この苦行はいったい何なんだ、という気持ちで家まで帰ります。犬の散歩は早朝か夜に夫婦のどちらかが行くのが犬にとってはいいでしょうね。と言いつつ、私の場合は、平日は夫が家にいないので、そういう訳にもいかず、実家の助けを借りています(汗)。
「子どもと犬でできる簡単な遊びやトレーニングを取り入れよう」
1歳を過ぎてくると、子どもも少しずつ自分の思ったように体を動かせるようになってきますから、どんどんトレーニングを教えてあげるといいと思います。一番簡単なのは、オヤツやフードを床に投げること。数粒容器に入れて、それを一粒ずつ床に落とさせて、犬に取らせるといいでしょう。「いいよ」「よし」「サーチ」などの合図を出してから食べさせれば、拾い食いの癖が付く心配もありません。口元に差し出せるようになれば、子どもの手から食べさせるトレーニングもしてみてください。このようなトレーニングの良いポイントは、オヤツなどの食べ物と子どもが結びつくことで、犬にとって子どもが美味しい物がもらえる良い存在になる、ということです。普段の食事を子どもから与えてもらっても良いと思います。
また、子どもは新しいことにチャレンジするのが大好きですから、言葉が話せるようになれば、オスワリ・フセ・マテ・オイデなどの簡単なコマンドを教えてあげると喜んでやるようになります。長々とやってしまうと、犬も飽きて無視してしまいますから、なるべく短時間で終わるようにトレーニングすると、犬も子どもも楽しめると思います。ボールやオモチャが好きな犬は、投げて持ってくる遊びや、隠して探させる遊びなどをすると良いでしょう。
このような簡単な遊びやトレーニングを教えてあげることで、子どもも、犬を単にぬいぐるみのように触ろうとするのではなく、むやみに触らずに関わる方法を知ることができます。子どもがそんな風に振舞ってくれるようになれば、犬も子どもを家族として受け入れるようになるでしょう。
ちなみに、うちの息子はもう3歳を過ぎて、やっていいこと、悪いことの区別がつくようになってきたので、例えばわざとうちの犬にオモチャを投げつけたり、乱暴な触り方をしたりしたら、私はメチャクチャ怒ります。犬に対する態度に関しては一番厳しいかもしれません。そのせいか、外で犬に会っても、子どもが自分から勝手に近づいて行くことはほとんどありません(苦笑)。