やさしいトレーニングとは?

シリウス・ドッグトレーニングスクールのコンセプトは、

「子供から大人まで誰でもできる やさしい!たのしい!ドッグトレーニング」

です。

去年、今年と立て続けにトリミングサロンでの犬の死亡事故がニュースで取り上げられました。本当に胸が締め付けられる思いです。どちらもまったく知り合いではないですし、実際の状況を知りようがないので何も言えませんが、このような話の時に必ず出てくるワードは、

「しつけのためだった」
「しつけとはいえやりすぎだろう」

というような言葉です。犬に人間の言うことを聞かせるため、ある程度は力や体罰が必要、あるいは許容されてしかるべきという考え方がどうしてもこの世界からなくなりません。ニュースにならないだけで、しつけと称して犬がケガを負わされたり殺されたりといったことは今も世界中で行われているのでしょう。

犬のトレーニングだけでなく、人間や動物のトレーニングでは、随分前からABA(応用行動分析学)という科学的な考え方が取り入れられています。シリウスのプログラムは、この考え方の上に成り立っています。人間が望んでいる犬の行動を増やしたり、減らしたいと思っている行動を減らすために、代わりの行動を増やすようにトレーニングしていきます。罰を使うことに関しては、様々な副作用が生じる可能性があることが分かっているため、可能な限り罰を使わないプログラムを徹底的に探します。

犬と飼い主との関係についてABAを用いた科学的な考え方を用いる中では、
「犬が従順になる」
「犬が人をリスペクトする」
「犬が反抗する」
というように犬の気持ちを人が勝手に解釈することはありえません。

トレーニング方法や犬との関わり方を客観的に評価するためにも、ABAの考え方は不可欠です。しかし、ABAをしっかりと習得したドッグトレーナーや犬に関する専門家は決して多くありません。犬というのは非常に扱いやすい動物で、そのような科学的な考え方の基礎がなくても、力と経験でなんとかなってきたのも事実なのです。

しかし、自分の経験だけでは対応できないとき、科学的な知識が身についているかどうかは非常に大きな差となります。ABAで犬の行動や周りで起きている事象が分析できるようになってから、私は力という武器に頼る必要がなくなりました。力では犬の行動は変えられないということが分かりました。それと同時に、何も知らずに力を使ってトレーニングをしてしまった過去の犬たちに対して悔恨の念にかられます。

シリウスの「やさしい!たのしい!ドッグトレーニング」というコンセプトはフワッとしているかもしれませんが、どんなことがあっても押さえつけるトレーニングはしない、という強い意思で付けたものです。

トリミングやグルーミングというのは、非常に高度な技術が必要な仕事です。シャンプー、カット、爪切りなどなど多くの犬が苦手に感じやすい刺激を犬に与えなくてはいけません。しかし、これもABAの知識があれば、犬に無理強いをせずにできるように犬と課題をクリアしていけるでしょう。ただし、中には受け入れるのに非常に時間がかかる犬もいます。そのことをオーナーさんが理解せずにトリマー任せで完璧な仕上がりを求めてしまうと、トリマーの中には結局犬に無理をさせて、見た目の仕上がりを第一目標にしてしまう人もいると思います。そのような時に事故が起きる可能性もあります。

シリウスでは、尋ねられた場合にはABAの知識のある、安心して任せられるトリマーさんを紹介するようにしています。ただ、その数はまだまだ少なく、紹介してもなかなか予約が取りづらいことも多いようです。 犬の世界では、ABAの知識の普及は発展途上だと言わざるを得ません。これからもっとしっかりと実践で使える知識を持った専門家が増えなくてはいけません。そして、それを選ぶオーナーさんにも少しでもそのような情報を知ってもらえればと思います。

風花ちゃんは私に撫でられるために教室に来てくれます(笑)

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